察知できない拗らせ童貞《フラグ・ブレイカー》
ここまで読んでくださった方々、お疲れ様でした。
『マッチングアプリに出会いを求めるのは間違っているか』も今回で最終回となります。
それでは、もう少しだけお付き合いください。
パトラッシュ、僕はもう疲れたよ
会話を膨らませても質問を続けてもレスが薄い、受け身や奥手と言えば聞こえはいいがただの人任せ。
こちらの話術にも問題があるのは確かだが、お互いに出会いを探している以上は歩み寄る努力をするのが礼儀ではなかろうか。
どちらか一方に負担が集中するような相手と肩を並べて、対等な関係を築いていく未来は想像し難い。(向こうからすれば僕と会話をすることこそが負担になっているのかもしれないが)
正直こっちの気分は場末のホストである。
やっぱりこんなもん使ってるやつにロクなのいねーんだよ。だって俺が使ってるんだもん。
それでも僕はブログを更新したい一心で足掻き続けた。
苦節2週間、頻繁に連絡を取り合っていた二人のうち片方の子からデートのお誘いをもらった。
このゲームはミスったらそこで終わりなのでビビり倒してたし、調べるとお誘いは10往復もしくは1週間以上連絡を続けてから、という記事が多かったので馬鹿正直に数えていた。※
(童貞に臨機応変や駆け引きといったものはないので。)
※4日で20往復くらいしてもデート断られたりもしたから、相手に合わせて適切なタイミングを見極める必要があるようだ。
女性は連絡の密度より期間を重要視しているようなので1週間は待った方がいいと思う。
返信の速度は相手に合わせるのが良いとされているんだけど、即レスの子に合わせると秒で話題がなくなるので、返信する時間を決めて1日に送るメッセージの数をコントロールするといいと思う。
件の子とは連絡を取り始めてから4日程度、そろそろ流れを作り始めようと思っていた矢先のことだった。
(言わせてしまうなんて情けない・・・)
向こうが初手で日時も指定してきて面食らってるんだけど、
何着て行けばいいんだ、オタクだから中学の頃に買った服とかいまだに着れちゃうんだよね。
とりあえず財布からクレカだけは抜いておくことにしよう。
(ちなみにもう片方の子はこの2日後くらいに急に連絡が途絶えた。他に先越されたかな?ちんたら連絡を取っていると先を越されることも少なくないので慎重になりすぎるのも問題のようだ。)
誘ってもらったとは言え、その後はこっちがリードしていく。
幹事をよくやるから店決めがどれだけ大変かもわかるし、流石に店は押さえてあげないと申し訳ないので引き受けたんだけど見通しが甘かった、都心のカフェはどこも予約が埋まっているのだ。
ここにきて心底後悔した。せめて日程を翌週にしてもらうべきだった。
時間にも空きにも余裕がない上にこちとら引きこもりなのでカフェの知識なんぞ皆無だ。
分が悪いにも程がある。
焦り散らかした僕はとりあえずアレルギーの地雷を踏まないように苦手な食べ物などを聞いて一刻も早く店を押さえようとした。その時ーー
「LINE交換しませんか?」
(・・・・・・・・・・・・・はい)
ですよね、そうですよね。ここまできたら情報共有とか、少なくとも合流するのにLINEは使いますよね。
また言わせてしまった・・・エオルゼアだったら除名投票入ってますよこれ。
違うんです言い訳させてください。僕もデート取り付けたら聞いていいって思ってたんですけど、ちょうど直前に見た記事に初デートで聞くのがいいみたいなこと書いてあったんスよ!
踊らされたんだよ俺は!
Twitterくらいのノリで「てか、LINEやってる?笑」って言いてぇ・・・
ここまでのムーブを振り返って、俺が相手の立場なら当日バックれる。
とりあえずなんとか無難なお店を押さえ、合流しやすいように人通りが適度で店と最寄駅どちらからも離れすぎない位置に集合場所を設定した。
お互い初対面だから相手を安心させるために人通りはある程度必要なんだけど、駅とか人が多すぎるところは探しづらいのでよくないらしいですよ、めんどくさいの一言に尽きますね。
この時点で僕の中での目的が出会うことでも彼女を作ることでもなくブログを更新することだったのは言うまでもないだろう。
前日、心なしか食欲がなかったので自分を偽っても緊張はしていたんだと思う。
当日は朝にお互いの服装を共有して合流。
お相手(以降Aさん)は可愛い!って感じではなかったが愛嬌がある、と言えばいいだろうか、
人の顔はアリかナシかでしか判断しないカスなのであれなんですけど、風俗だったらチェンジはしなくて済む感じでした。
ひとまず今日のお礼を伝えて、他愛ない会話をしつつ店へ移動、店は評判通り可もなく不可もなくといったところだったけど、店員の練度が低かった。
急な予約が取れてしまうのも納得だ。
お互いに注文を済ませ、僕は脳内にストックしておいたカードを切っていく。
そして事件は起こったーーー
僕「読書好きなんでしたよね、好きなジャンルとかありますか?
A「自己啓発よく読みますよ!」
僕(・・・。)
読んだことないけど、それっぽい言葉を並べて中身のない長ったらしい文章で誤魔化し続けた挙句「〇〇に感謝」が言いたいだけ、みたいなやつでしょ?
やり口が一緒なんだよ、俺のブログと
・・・・・・・・・・・・・・。
これが同族嫌悪ってやつか、気づきたくなかったなぁ・・・
他は本当にありきたりで当たり障りのない会話内容だったので割愛する。
ただ、メッセージと違って相手も会話をしようと質問や最近の出来事など話題を提供してくれたのはとてもありがたかった。
食事が来るまでは問題なかったのだが、ここで僕の経験の浅さが露呈する。
二人しかいないのに飯食ってたら会話か食事どっちかしかできなくないですか?
これ食うタイミングと会話のタイミングの切り替えどこだよ
「五飛、教えてくれ。俺は、いつ会話を切り出せばいい?俺は後何回、食事を口に運べばいいんだ・・・ゼロは俺に何も言ってはくれない。教えてくれ、五飛!」
ペース配分が完全にわからなくなった上に会話を投げかけすぎると向こうの食事が進まなくなりそうなので結果的に無言が生まれた。
きっとこれは僕の気にしすぎでサシで食事してる以上仕方ないんだと思うことにした。
ちょこちょこ無言もあったものの、向こうも会話をしようという意思を持ってくれていたおかげで変な感じにはならなかった。
何かあったとすれば僕がフラグを2本ほど折ったことだろう。
観たい映画が被って、向こうも観に行きたいと乗ってくれた上にコラボカフェをやってるから行ってみたいとまで言ってくれたのに誘うことなくスルー
お酒の話からオススメのお店を教え合いながらも今度行ってみますとスルー
流石に上二つは僕でも攻めるべきポイントだったと思う。
他にもあったのかもしれないけど僕にはわからない、なぜなら童貞だから。
なんで何もしなかったかって話をすると、お互いに努力すれば話せるんだけど趣味とか感覚みたいなものが惜しかった。
無理をしているように感じた。少なくとも僕は無理をしていた。
それに、自己啓発は僕が距離を置くには十分な理由だった。
初回で何がわかるって話だけど、顔を合わせた上で違和感を感じるなら続けるのはお互いのためにならないと思う。
この違和感に関しては所謂フィーリングってやつで、僕も読者のみんなにはわかってくれとしか言えないのがもどかしいのだが、どうかわかってほしい。
あと、これは完全に僕個人の問題なんだけど顔の系統というか雰囲気が妹に似ていてそういう関係になることに抵抗を感じた。
席が時間制だったので、時間を気にする事なく適度な時間に店を出ることができた。
(お互い打ち解ける前のデートは2時間前後が最適と言われている。実際こちらの気力が保つのはそのくらいが限界。)
その後は駅まで見送りをしてお別れした。
後で知ったけど見えなくなるまで見守って、振り返ってくれたら手を振るのが礼儀らしいですよ。
いい大人なんだから一人で帰れるだろ、ガン見されてたら怖いわ。とか思うのはやっぱり僕が童貞だからなんでしょうか。
とまぁこんな感じで今回は運に恵まれた部分が大きかったし、特に面白いオチにはならなかったんだけど一区切りはついた。
この2週間でモノの使い方はわかったし、何よりも自分を客観視するいい機会になった。
少なくともあと2週間はアプリが使えるわけなんだけど、
おそらく悪戦苦闘していた頃より迷いなく動くことができるので今後も使い続けて行くべきなんだろう。
でもね、もう疲れた。
めんどくさい。
こんなにあーだこーだ考えて、時間かけて、デートに金使って、未来のセックスに投資するくらいなら俺は今風俗に行きたい。
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おわれ